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みなさんこんにちは!
長池庭園、更新担当の中西です。
~中門門被り松の剪定~
和風の邸宅や料亭の玄関先に立つ、美しく枝を張った一本松それが「門被り松(かどかぶりまつ)」です。特に「中門(ちゅうもん)」に配される門被り松は、訪れる者を迎え入れる“日本の美意識とおもてなしの象徴”として大切に扱われてきました。


この松の剪定作業には、単なる樹木管理を超えた造園職人の技と哲学が求められます。
門の正面またはやや外側に位置する一本の松
枝を斜めに広げ、門の上部や周囲に“被る”ように剪定される
「繁栄」「迎え入れる心」「風格」を象徴
※日本庭園の中でも最も目立つ位置にあるため、「家の格」「管理の質」が現れるとされる重要な存在です。
無駄な枝を整理し、主幹と流れ枝の美しいラインを強調
枝の高さや角度、流れの「左右バランス」が非常に重要
**門にかかる“絶妙な被り加減”**が美しさの決め手
→ 「見た目が自然、でも計算された美」がプロの腕の見せ所です。
春(5〜6月):新芽の調整、不要枝の軽剪定
秋(10〜11月):全体の形を整える「本剪定」
特に秋は古葉を手でむしる「葉むしり」作業が丁寧に行われ、枝の輪郭がより明確に。これにより、松本来の“透け感”と“静けさ”が際立つのです。
松そのものの形だけでなく、背後の門構え・壁・空間とのバランスを見て剪定
枝が屋根瓦にかからないように配慮しつつも、“包み込むような枝ぶり”を演出
→ 一枝一枝が「景を作る一筆」であるという意識が大切です。
手バサミ・ノコギリ・竹ハシゴなどを駆使
地上からの目線を意識して、高所でも「下からどう見えるか」を常に想定
「枝を切る」より「枝の流れを創る」という発想が重要
枝を切りすぎて門被り感が失われる
枝の高さ・角度が不揃いで風格がなくなる
重心が門から外れてしまい構造バランスを損ねる
→ 門被り松は“建築物の一部”と捉える視点が不可欠です。
中門にそびえる門被り松は、日本庭園における精神性と技術の象徴です。単なる「剪定作業」ではなく、そこには空間全体を構成する美意識と設計思想が込められています。
だからこそ、プロの造園業者が手がける剪定は、ただ形を整えるのではなく“生きた美”を演出する仕事なのです。
最後にお知らせです。長池庭園では、一緒に働いてくださる仲間を募集しています。造園はチームワークが命。未経験の方でも「植物が好き」「自然の中で働いてみたい」という想いがあるなら大歓迎です。ぜひ求人情報ページもご覧ください!
それでは、次回の更新をお楽しみに。
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